平成8年度の展覧会(1996年4月から1997年3月)

ページID1001254  更新日 2023年2月28日

印刷大きな文字で印刷

ベン・シャーン 創造のプロセス

会期:平成8年4月27日から5月19日

チラシ:ベン・シャーン 創造のプロセス

ベン・シャーン(1898年から1969年)は、戦前、戦後のアメリカを代表する作家の一人です。彼は、リトアニアのユダヤ人家庭に生まれ、8歳の時家族とともにニューヨークに移住しました。幼い頃から絵を好んだ彼は、13歳の時から石版画工房で見習いとして働きながら夜間の学校に通い、アート・スチューデンツ・リーグ等の美術学校で版画や絵画の技術を学びました。

1930年代初頭、シャーンは世界中を揺るがした不況のなかで、「ドレフュス事件」「サッコとヴァンゼッティ事件」など無実の人々が捕らえられた事件をテーマに連作を発表し、社会問題を告発する画家として注目されるようになりました。また、大不況のさなか、画家たちの活動を救援するために行われた公共建築の壁画制作に携わる一方、再入植局や農業保護局の依頼でアメリカ国内各地を訪ね、庶民生活を写真に記録して歩きました。そして、これらの写真をもとに、人々の何気ない日常を描いた《サンデー・ペインティング》と呼ばれる作品群を制作しました。さらに、戦争の悲惨さを訴えるポスター、労働組合活動のためのポスターなども描きました。

しかし戦中からは、政治的・社会的批判の作風から次第に離れ、空虚、悲劇などの抽象的な主題を持った作品を描くようになります。終生多くの人々から共感を得た彼は、「社会と芸術」、「人間と芸術」への関心を抱きながら盛んな制作活動を展開しました。
このようなシャーンの作品を特徴づけるもののひとつに、独特の震えるような線描があります。彼は、思案しながらゆっくりと引いたその線に、激しく、また温かい感情を込めたのでした。

この展覧会では、シャーン芸術の創造プロセスを辿り、その特質や彼が人々に宛てたメッセージを探ろうとすべく、彼の制作過程のなかで残された多くのエスキース(下絵)、ドローイング(素描)、スケッチ類を中心とした約180点を紹介しました。

第14回 衣浦東部美術展

会期:平成8年6月13日から6月30日

衣浦東部地域(碧南市・安城市・知立市・高浜市・刈谷市)で活躍する100人の作家たちによる日本画、洋画、書、写真、彫刻、工芸作品、100点を紹介します。

この展覧会は、当美術館が開館した昭和58年6月に、開館記念展として開催しました「郷土作家百人展」を受け継ぐものです。平成59年度より現在の「衣浦東部美術展」と名称を改めて、平成20年度の第25回展まで開催しました。

刈谷市美術館収蔵品展

会期:平成8年7月3日から7月14日

チラシ:刈谷市美術館収蔵品展

刈谷市美術館の所蔵品の中から、動物がモチーフとして描かれた日本画、油彩画、素描など8点を展示しました。

第13回 愛知教育大学美術教室・総合造形コース教官展(愛知教育大学 美術教育講座 教官展)

会期:平成8年7月31日から8月18日

刈谷市内にある愛知教育大学の美術教室・総合造形コース(美術教育講座)の教官有志による絵画、彫刻、工芸など多彩な作品を紹介しました。
昭和59年度から平成16年度の第20回展まで毎年開催しました。

北斎漫画展

会期:平成8年9月14日から10月27日

チラシ:北斎漫画展

江戸時代後期の画家、葛飾北斎(1760年から1849年)は、自ら“画狂人”と称するほど終生描くことに情熱を燃やし、90年に及ぶ人生を画業一筋に歩みました。このような北斎の尽きることのない探究心が盛り込まれているのが『北斎漫画』全十五編であり、不朽の名作《富嶽三十六景》と並んで彼の代表作とされています。

『北斎漫画』でいう漫画とは、現代の漫画の意とは異なり、漫然と筆のおもむくままに描いた図画の意味合いです。北斎55歳から没後にかけて版行されたこの木版手刷本には、人物、風俗、動植物、建物、風景、歴史、妖怪変化など約4,000点にのぼるあらゆるモチーフが生き生きと描かれており、北斎芸術の骨格を成すものといえます。

また、『北斎漫画』は、彼の門人はもちろん大名から庶民まで多くの人びとに大好評を博しただけでなく、遠く海を越えてヨーロッパの芸術家たちも魅了し、マネやドガを始めとする印象派の画家などに多大な影響を及ぼしました。

この展覧会は、国内外より蒐集された1,100冊のオリジナル版本の中から厳選された世界最良のセットと考えられる初摺本全十五編と額装作品200点を展覧して、鋭い観察眼と卓越した描写力により森羅万象を描き尽くした北斎芸術の真髄を紹介するものです。また、マネやドガなどの作品の写真パネルと比較展示して、『北斎漫画』が彼らに与えた影響も併せて紹介しました。

色の詩情展 冬いろ、春いろ、うつりかわる季節を見つめて

会期:平成9年1月21日から1月26日

チラシ:色の詩情展 冬いろ、春いろ、うつりかわる季節を見つめて

四季の変化に恵まれた日本の風土には、季節の移り変わりを知らせる様々な自然の色があります。中でも、厳しい寒さの中で生きものたちが休む冬枯れの季節から新しい生命の輝きにあふれる春にかけて、次第に彩られていく自然の情景は、一際美しく多くの人々から愛されています。
冷たい北風、凍てつく大地。新緑の山々、桜の花。冬や春をイメージするものは身近にあふれ、雪白、萌葱黄、桃色など、たくさんの色を見つけることができます。

このように古くから私たちの暮らしと深く関わってきた季節を知らせる自然の色は、時代や地域を問わずさまざまな美術作品のモチーフとなってきました。行事、生活、時候天文、動物、植物など、あらゆる物事に関わって鮮明となる季節の色合いやうつろいゆく美しさに魅かれ、多くの作家たちが作品を生み出しました。

この展覧会では、写実的な視線で表現された風景画や、冬春から自由にイメージされた作品など、季節の変化に呼応する芸術家たちの多彩な感性や彩りへの鋭敏な美意識の世界を通じて、創りあげられてきた色や美を見つめ直すため、冬から春にかけて、自然や暮らしの中で、豊かに展開される季節の『色』をテーマに近代の日本画や油彩画、そして現在活躍している作家の作品に加え、絵の具などの画材、60余点を紹介しました。

図録「色の詩情展 冬いろ、春いろ、うつりかわる季節を見つめて」販売中

第4回 刈谷市美術館所蔵品展

会期:平成9年2月19日から3月23日

チラシ:第4回 刈谷市美術館所蔵品展

刈谷市美術館所蔵品の中から、植物がテーマに描かれた油彩画、素描など13点を展示しました。

PDFファイルをご覧いただくには、「Adobe(R) Reader(R)」が必要です。お持ちでない方はアドビシステムズ社のサイト(新しいウィンドウ)からダウンロード(無料)してください。

このページに関するお問い合わせ

美術館
〒448-0852
刈谷市住吉町4丁目5番地
電話:0566-23-1636 ファクス:0566-26-0511
美術館へのお問い合わせは専用フォームをご利用ください。

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

ページ内容改善の参考とするためにご意見をいただいています。

このページの内容は分かりやすかったですか?