平成19年度の展覧会(2007年4月から2008年3月)

ページID1001243  更新日 2023年2月14日

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チェコ絵本とアニメーションの世界展 チャペック、トゥルンカから21世紀の作家まで

会期:平成19年4月21日から5月27日

チラシ:チェコ絵本とアニメーションの世界展

東欧の小国チェコ。時間が止まったかのような中世そのままの街並みを遺すこの国に、私たちは不思議な魅力を感じることでしょう。
チェコでは17世紀以来、近隣の大国から母国語を守るメディアとして人形劇が親しまれ、人形劇の伝統と技術を受け継いだ人形アニメーションが独自に展開されてきました。そのパイオニアとして世界的に名声を博したのが巨匠トゥルンカであり、刈谷市美術館では平成16年に「イジー・トゥルンカ展」を開催し、絵本原画を中心に彼の創作活動をご覧いただきました。チェコのアニメーション、「チェコ・アニメ」という総称があるほどに世界的に高い評価を受け、そしてまた、絵本の制作もアニメーションと密接に関係しながら発展してきました。チェコ・アニメの作家たちの中には、絵本創作やイラストレーション、デザインなども手がけている場合も多く見られ、そこには、アニメと同様の詩的な世界が繰り広げられています。

この展覧会では、チェコとスロヴァキアの公立美術館、および旧国営アニメーションスタジオのクラートキー・フィルムなどのご協力により、チェコを代表する作家28名の原画や制作過程の資料、絵本など約250点(会期中展示替があります)により、20世紀初頭のチャペックやラダなどの草創期の作家から、現在活躍中の最新鋭の作家たちまでの作品を、アニメーション制作と絡めながらたどりました。

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常設展示 第1期『New Collections 平成18年度収集作品を初公開!』

会期:平成19年5月31日から7月15日

平成18年度に新しく刈谷市美術館のコレクションに仲間入りした新収蔵作品を公開しました。
平成18年度は購入や寄贈、寄託によって20点の作品を収集することができました。その中から、郷土を代表する近代の洋画家 佐分眞の渡欧時代の優品をはじめ、佐々木豊や八島正明、大森運夫など、現代の洋画家・日本画家の作品などを紹介しました。

近代洋画の巨匠 和田英作展 三河・知立と刈谷に残した足跡を中心に

会期:平成19年7月21日から9月2日

チラシ:近代洋画の巨匠 和田英作展

和田英作(1874年から1959年)は、日本近代洋画の黎明期から活躍し、明治・大正・昭和の洋画壇に偉大な業績を残した画家です。

終戦直前の1945(昭和20)年3月、当時70歳であった和田英作は東京の自宅が強制疎開となると、この年の4月に愛知県碧海郡知立町(現知立市)へ疎開することになりました。この地に暮らした1951(昭和26)年8月までの期間は、まさに終戦から戦後にかけての混乱期にあり、物資不足などによりその生活は不自由を強いられましたが、地元の文化人や農家の援助を受けながら、ひたむきに作品制作に取り組みました。

こうした和田の知立時代は、長い画業を通してみればわずか6年間程のことに過ぎませんが、好天に恵まれれば意欲的に戸外写生に出かけ、近くを流れる川や東海道の松並木、刈谷の名勝地・小堤西池などの風景画、また地元の人々から贈られる薔薇や果物の静物画など、当地と密接な関連のある数々の優品を制作しました。

この展覧会では、和田英作が当地に残した足跡を、新発見作品を含む油彩画や素描約40点、関連資料によって振り返るとともに、特別出品として初期から晩年までの油彩画も併せて展示しました。穏健で親しみやすい作風を築き上げた和田英作の魅力をお楽しみいただきました。

画家・岸田劉生の軌跡―油彩画、装丁画、水彩画などを中心に

会期:平成19年9月15日から10月28日

チラシ:画家・岸田劉生の軌跡―油彩画、装丁画、水彩画などを中心に

愛娘をモデルに描いた岸田劉生(1891年から1929年)は、近代の日本美術において最も個性的な画家の一人です。38歳という短い生涯ながら、その画業は大きな変貌を遂げました。

岸田劉生は1891(明治24)年に東京に生まれ、黒田清輝に外光派の画風を学び、20歳の時に文芸雑誌『白樺』の同人、武者小路実篤らとの交友によって、ゴッホやセザンヌを知り影響を受けました。また、在野の小規模な美術団体「草土社」のリーダーとして活躍し、日本洋画壇に大きな業績を残しました。その後、北方ルネサンスの絵画に傾倒し、デューラーらからの「クラシックの感化」が強まり、精緻な写実を追及し、物や人物の存在を深く見つめる「内なる美」の探求へと進みました。やがて宋元画や初期肉筆浮世絵などの東洋的な美に心ひかれて、それらを自らの芸術に反映させようと試みるようになりました。

この展覧会では、笠間日動美術館の所蔵作品に特別出品を加え、岸田劉生の初期から晩年までの軌跡をたどります。代表的な〈麗子像〉の油彩画をはじめ、麗子が随所にちりばめられた装丁画や水彩画、晩年の日本画などの130余点により、劉生芸術を紹介しました。

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同時開催 岸田劉生と愛美社の画家たち

名古屋と岸田劉生、あるいは草土社とは深い関わりがあるといえます。草土社名古屋展は大正6年に愛知県商品陳列館で、1921(大正10)年には十一屋呉服展で開かれ、同年名古屋を訪れた劉生は草土社美術講演会(現椙山女学園講堂)で「装飾と模倣」について話しました。そして1923(大正12)年の関東大震災で鵜沼の家を失った劉生が京都に転居する前、約半月間身を寄せるために滞在し、震災後初めて絵筆を取ることになった地が名古屋でした。

また、名古屋生まれの大澤鉦一郎(1893年から1973年)は、大正6年の草土社第1回名古屋展にわずか3日間の開催ながら、毎日足を運びました。自らの精神性と近い世界観を感じたであろう大澤は、劉生に対抗するように、同年、萬代比佐志、森馨之助、鵜城繁、藤井外喜雄、山田睦三郎、宮脇晴、水野正一(1921年に参加)と「愛美社」を結成しました。1921(大正10)年の第3回展を最後に愛美社は自然解散してしまいますが、細密描写による作風を深化させました。このような名古屋における岸田劉生の動向と愛美社の画家たちの活動を当時の作品や資料などで紹介しました。

常設展示 第2期『Challengers 多様化する戦後の美術』

会期:平成19年11月1日から平成20年1月27日

戦後、社会が大きく変貌したように、日本の美術は、従来の枠に囚われない自由な作品が発表されるようになり、また国際的な交流も盛んになりました。

この常設展では、戦前からの前衛的な活動を深化させた作家や、因習的な画壇に抵抗して革新を目指した作家、欧米で起こった新しい美術様式に影響を受けた作家などの作品を、美術館の所蔵作品の中から紹介しました。

新しいスタイルを求めて果敢に挑戦し、表現の可能性を切り開いていった美術家たちの情熱をご覧いただきました。

衣浦東部美術展

会期:平成20年1月4日から1月13日

衣浦東部地域(碧南市・安城市・知立市・高浜市・刈谷市)で活躍する100人の作家たちによる日本画、洋画、書、写真、彫刻、工芸作品、100点を紹介します。

この展覧会は、当美術館が開館した昭和58年6月に、開館記念展として開催しました「郷土作家百人展」を受け継ぐものです。平成59年度より現在の「衣浦東部美術展」と名称を改めて、平成20年度の第25回展まで開催しました。

常設展示 第3期『Colors 色でみる虹色美術』

会期:平成20年1月31日から4月13日

美術と色は、切っても切れない関係で、作品には、いろんな色が使われています。画家たちは、なぜその色を選んで描いたのでしょうか?画家なりの理由があるはずです。なぜなら、表現に決まりはなく、どんな色を使ってもよかったわけですから。

こうした色は、いろんなモノを連想させることがあり、また感情を表すこともできます。赤は温かさや生命、白は純粋や無などをイメージさせ、また青は“ブルーな気持ち”という言葉があるように、心配や不安にも結びついてきます。こうしたイメージは、ある程度、共通のイメージがあるといえるでしょう。(もちろん文化や国によって違いはありますが…)さらに、赤や黄など暖色系の色は飛び出して見えたり、反対に青や黒など寒色系の色は引っこんで見えたりと、不思議な感覚も与えてくれます。

そこで、この常設展では、所蔵作品のなかから赤、黄、青…など色をテーマにして作品を選びました。中心になっている色や、際立つ色を探すと、そこから、画家が表現したい思惑や、作品に込めたメッセージを見つけることができるかもしれません。色を通して作品と向き合うことで、限りなく広がる色の魅力、様々な作品をお楽しみいただきました。

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