令和2年度の展覧会(2020年4月から2021年3月)

ページID1007500  更新日 2021年12月5日

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企画展

ヒグチユウコ展 CIRCUS

チラシ:ヒグチユウコ展
ヒグチユウコ展 チラシ

会期:令和2年6月2日から7月11日

空想と現実を行き交う自由な発想とタッチで、作品制作のみならず絵本の刊行など、幅広い活動をみせる画家ヒグチユウコ。初の大規模個展となる本展では、約20年の画業の中で描かれた500点を超える作品をご紹介。猫、少女、キノコ、この世ならぬ不思議ないきものたちが繰り広げる、楽しくもどこか切ないサーカスの世界をお楽しみいただきました。

 

(C)Yuko Higuchi

村上康成の世界展 絵本表現へのチャレンジING&ワイルド・ライフ・アート

写真:村上康成の世界展チラシ
村上康成の世界展 チラシ

会期:令和2年10月3日から11月15日

「水ぎわ族」を自認する自然派アーティスト・村上康成(1955-、岐阜県出身)。彼が描き出す絵本をめくっていくと…。澄み渡る空、そよ吹く風、清流を泳ぐヤマメたち。観ているわたしたちは、村上ならではの、ゆるやかな空間に誘い込まれ、やがて物語の主人公へとかわっていくようです。

村上は、幼い頃から川遊びを楽しみ、魚釣りが大好きで、愛知県立芸術大学時代にはヨットに明け暮れ、三河・三谷の海風に染まりました。以来、自身に染み込む自然界のリアリティーにもとづき、絵本表現を追求し続けています。シンプルな色と形、躍動感のあるページ展開、余白を生かした独特な画面構成。それが村上絵本の醍醐味です。

本展は、『ピンク!パール!』などの人気の「ヤマメのピンクシリーズ」をはじめ、初期から最新作『まっている。』の絵本原画、タブローなど約300点で構成する本格的な展覧会となり、貴重な学生時代の作品、雑誌の表紙やグッズの仕事も網羅し、村上の世界を紹介しました。

常設展

どうぶつパラダイス!! -美術と絵本にみる動物表現-

写真:下村良之介 穴梟 モソッ 1986年
下村良之介《穴梟 モソッ》1986年

会期:令和2年7月22日から8月23日

牛や馬などが描かれた洞窟壁画が残されているように、人間は古くから動物を描き続けてきました。現代の作家たちも、その形に造形的な興味をかき立てられたり、身近な存在として自身を投影したりするなど、人間に次ぐ重要なモチーフとして、多彩な視点で表現しています。
紹介した16作家の作品には、写実的な表現だけでなく、一見動物と分からないような抽象的な表現も見られます。さらに、作家が創造した空想上の生き物も登場します。それぞれの作品からは、動物に対する優しいまなざしのほか、作家の自我や強いメッセージが感じられます。また、絵本作品では、生き生きとした動きや表情で描かれた魅力的な動物たちが、読者を物語の世界へ引き込みます。バラエティー豊かな動物たちとの出会いをお楽しみいただきました。

※新型コロナ感染症対策のため、会期途中で中止となった前年度の展示を、一部内容を変え再開催しました。

New Collection展 -新収蔵作品を初公開!

写真:和田英作 春暁 1949年
和田英作《春暁》1949年

会期:令和2年9月1日から9月22日

平成31年度の作品収集活動では、当館の重要な収集方針である近・現代の郷土の美術をはじめ、1960年代から隆盛したアングラ演劇のポスターなど106点を収集しました。

郷土の美術は、和田英作の知立時代の風景画をはじめ、前年度企画展を開催した名古屋市出身の久野真や、刈谷市出身で三河を中心に活動を続ける蛇雄の作品などを収集。また、郷土作家とも交流の深い田島征三の作品も収集し、地元愛知を軸にした多彩な作品がコレクションに加わりました。ポスター類は、「状況劇場」、「演劇実験室・天井棧敷」、「自由劇場」といった、1960-70年代の演劇関連など、同時代を代表するグラフィック・デザイナーやイラストレーターらの作品を40点収集。当館のポスターコレクションは計190点となり、日本のグラフィック・デザイン史や前衛演劇史を中心に、戦後文化を概観する特徴的なコレクションとなりました。

本展では、こうした中から選りすぐりの約40点を紹介しました。

没後10年 瀬川康男展

写真:瀬川康男 ふしぎなたけのこ 原画部分 1963年
瀬川康男『ふしぎなたけのこ』原画(部分)1963年

会期:令和2年11月21日から12月13日

愛知県岡崎市生まれの日本を代表する絵本作家・瀬川康男(1932-2010年)。絵本界の鬼才といわれた瀬川の没後10年にあたり、刈谷市美術館のコレクションを特集展示しました。

1960年、初めての絵本『きつねのよめいり』を出版後、瀬川は絵本づくりにのめり込んでいきました。2作目の『つきをいる』は叙情的な作風の処女作から一転、力強い線で描かれ、3作目の『ふしぎなたけのこ』では絵巻物のような連続性が表現され、1作ごとに刻々とその画風を変えていきました。

本展では、1967年の第1回ブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを受賞した『ふしぎなたけのこ』(作:松野正子、福音館書店、1963年)の原画や下絵を中心に、『ばけくらべ』(作:松谷みよ子、福音館書店、1964年)の原画、絵本作家デビュー前のタブローなどを通じて、初期の表現世界を振り返りました。

絵画を愉しむ 耳をすまして

写真:絹谷幸二 涙するカトリーヌ 1987年
絹谷幸二《涙するカトリーヌ》1987年

会期:令和3年1月5日から2月14日

テーマを「音」として、鑑賞者の目だけでなく耳にも働きかけてくる絵画作品をご紹介しました。

絵画から感じる音の世界。人物画から聞こえる、つぶやきや会話、楽器の軽快なリズムやメロディー。風景画や静物画から感じる、雨や風のざわめき、何気ない日常の生活音など。それらは、見る人それぞれの心の中から聞こえる音であり、日々の生活で蓄積された記憶の音といえます。

本展では、描かれた一つひとつのモチーフをじっくり見つめながら、構図や色彩、筆づかいなど、絵画の様々な要素にも注目しました。心の奥底に眠っていた音が共鳴し、忘れていた記憶とともに静止した絵画が動き始める、今まで以上に親密な鑑賞体験をお愉しみいただきました。

大島哲以展 幻想絵画から書籍の仕事まで

写真:大島哲以 リュートを奏する犬狼貴族 1965年
大島哲以《リュートを奏する犬狼貴族》1965年

会期:令和3年2月18日から4月4日

幻想世界を描き続けた異能の日本画家、大島哲以(1926-1999年、名古屋市出身)。絵画や版画をはじめ、児童書の挿絵や時代小説の装画など、多様なジャンルの作品を関連資料とともに展示しました。

大島は、大阪理工科大学(現・近畿大学)在学中に終戦を迎え、1948年に画家を志して日本画家・中村貞以に師事、院展に風景画などを出品し、画家として歩み始めます。1960年からは、新制作協会展に日本の民話や祭りを題材にした作品を発表。やがて、獣や花が融合した異形の人間たちがうごめく奇怪な幻想世界を確立し、異彩を放ちました。鬼才の新人として活躍する一方、美術評論家・針生一郎が企画した「これが日本画だ展」に出品するなど、新しい日本画を希求する運動にも意欲的に参加しました。1971年からは1年間、文化庁研修員としてウィーンに留学し、幻想絵画の巨匠・フックスから西洋絵画の混合技法を学びます。1970年代以降、これまでの社会批判を込めた妖異な画風は、愛やエロスを主題に女性を描く優美なものへと大きく転換しました。

人間の苦悩や愚行、生と死、愛やエロスといった本能から目をそらさず、ひたすら人間と自己を探求し続けた大島の幻想世界を紹介しました。

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