平成17年度の展覧会(2005年4月から2006年3月)

ページID1001245  更新日 2023年2月14日

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ヨーロッパ絵画展 バロックから近代へ

会期:平成17年4月23日から5月29日

チラシ:ヨーロッパ絵画展 バロックから近代へ

17世紀のバロック美術は、ヨーロッパ各国でそれぞれの国にふさわしい巨匠を輩出し、ルネサンス美術に優るとも劣らない偉大な美術として人々の関心を集めてきました。

この展覧会では、劇的な表現によるバロック美術に始まり、19世紀の各国の近代絵画に至る約60点を、宗教画、世俗画、肖像画、風景画、風俗画の5つの章に分けてご紹介しました。出品作は「伝統的な絵画手法によって描かれた正統派のヨーロッパ絵画」という一貫したテーマのもとに蒐集された長坂コレクションによって構成されています。

ここにみられる作品のほとんどは、巨匠らの周辺にいた作家たちによるものです。いわば「もうひとつのヨーロッパ絵画」と呼べる穏健的な彼らの作品は、美術の歴史の中ではあまり取り沙汰されませんが、当時の庶民たちには身近な存在として愛されてきたものでした。古きよきヨーロッパの雰囲気や美意識をよく伝えてくれるこうした優品の数々は、わたしたちに“絵を鑑賞する楽しさ”をあらためて感じさせてくれました。

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常設展示 第1期『新収蔵品展2』

会期:平成17年4月23日から7月10日

平成16年度に収集した作品をご紹介しました。平成16年度は購入や寄贈によって、181点もの作品を収集することができました。
新収蔵作品をお披露目する常設展を2期にわたって開催しました。

この展覧会はその第2期として、岡田徹、久野真、三尾公三、櫃田伸也など戦後に活躍した愛知ゆかりの作家たちの作品を中心に9作品を公開しました。

市制55周年記念 刈谷の文化財展

会期:平成17年7月20日から8月14日

チラシ:市制55周年記念 刈谷の文化財展

刈谷市域における最も古い人の活動の跡は、1万年以上前の旧石器時代までさかのぼります。縄文時代には本刈谷貝塚をはじめとして県下でも有数の貝塚が残され、古代にはいつくかの集落が営まれ、市北部の丘陵地では窯業も行われていました。
鎌倉時代から室町時代にかけては重原荘の荘域に含まれていましたが、戦国の時代、尾張国緒川から刈谷へ進出してきた水野氏が、刈谷城を核とした城下町を形成したことから、刈谷の町・村が拡大していきました。大正時代に豊田佐吉が刈谷に自動織機試験工場を建設してからは、工業都市としてめざましい発展を遂げ、現在に至ります。

このような悠久の歴史の中で、刈谷市には大切に守り継がれてきた多くの貴重な文化財が残されています。このたび刈谷市制55周年を記念して、これらの文化財を一堂に展示しました。長い年月の間大切に守られてきた文化的遺産を正しく学びながら、郷土の歴史への親しみを深める機会としました。

アートするこころ 後藤克芳の世界

会期:平成17年8月17日から9月11日

チラシ:後藤克芳の世界

ジャパニーズ・ニューヨーカー、後藤克芳のポップで繊細なアートの世界をご紹介しました。1936(昭和11)年、山形県米沢市に生まれた後藤克芳は、武蔵野美術大学洋画科で学びながら、のちにネオ・ダダイズム・オルガナイザーズのメンバーとなる前衛芸術家たちと交流しました。
大学時代に交流した作家らが渡米していく中、1964(昭和39)年に後藤もポップ・アートが隆盛していたニューヨークへと渡ります。山形新聞社の特派員、皿洗い、ガイド、バイヤー、ファッションコンサルタントなど、さまざまな職につきながら制作活動を続け、世界を席巻したポップ・アートを日本人として体現していきました。

後藤の作品は、愛するニューヨークの生活のなかで胸に響いた身の回りのイメージを題材としたウイットに富むユニークなものです。ベニヤ板などの木を用いて丹念に立体物をつくり、丁寧に着彩していく独特な作風からは職人的な繊細さもうかがえます。こうした作品は、ニューヨーク随一のギャラリーでの個展開催を目指してつくりためられてきましたが、2000(平成12)年に惜しくも彼は病でその生涯を閉じ、翌年、故郷に帰国しました。

この展覧会では帰国した作品群の中から選りすぐった約40点をはじめ、関連資料、交友のあった篠原有司男や河原温の作品なども合わせて展示しました。人生そのものをアートした刺激的な後藤の足跡は、見るものの心に揺さぶりをかけてくれました。

ぼくらの小松崎茂展 子どもたちの夢やあこがれを描き続けた画家

会期:平成17年9月17日から10月30日

チラシ:ぼくらの小松崎茂展 子どもたちの夢やあこがれを描き続けた画家

世代を超えて少年少女たちの夢を育て、魅了しつづけた画家・小松崎茂(1915年から2001年)。彼の類ない豊かな想像力は、少年ヒーローが活躍する絵物語をはじめ、臨場感みなぎる戦記物やSFなど多彩な分野で発揮されました。

幼い頃から描くことを好んだ小松崎は、当初日本画家に師事しますが、やがて挿絵画家に転向。昭和13年から新聞連載の挿絵を手がけるようになり、迫真の戦闘場面を描いた科学雑誌『機械化』で画才を開花させました。戦後は『冒険活劇文庫』や『おもしろブック』などの少年雑誌に「地球SOS」や「大平原児」などの代表作を次々に発表し、山川惣治と並ぶ絵物語作家として一世を風靡しました。
絵物語の時代が去る頃には『週刊少年サンデー』や『週刊少年マガジン』などの表紙や口絵で活躍する一方、戦車や戦闘機、「サンダーバード」などのプラモデルの箱絵を数多く描き、テレビ全盛期の昭和40年代には、「ウルトラマン」や「マジンガーZ」などのキャラクターのイラストレーションを手がけました。そして迎えた平成の時代には、音楽CDのジャケットなどの新たな仕事に取り組みました。

この展覧会では、初公開の初期日本画やスケッチをはじめ、絵物語や口絵の原画、プラモデルのボックス、メカデザインを提案した特撮映画関連資料など約600点を一堂に展示しました。
作品を発表する時代やメディアは移り変わりながらも、一貫して子どもたちへ未来の夢を贈り続け、現在の芸術文化にも影響を与えた小松崎茂の全貌に迫りました。

常設展示 第2期『瀬川康男の近作絵本原画展』

会期:平成17年9月17日から10月30日

今までに100冊以上もの絵本作品を発表してきた瀬川康男(1932年から2010年、岡崎市生まれ)。国際的にも高い評価を受けてきた瀬川は、数年前に過労で倒れ体調を崩したために、2000(平成12)年10月発行の『おつきさま いくつ』を最後にしばらく絵本制作から遠ざかっていました。しかし、2004(平成16)年、好奇心いっぱいの子犬のひなが主人公となった『ひな』と、てんぐとの掛け合いがゆかいな『ひなとてんぐ』、待望の絵本があいついで誕生しました。

2冊の絵本は、長い間、瀬川が想いつづけてきた、ある架空のいきものが主人公となった物語がイメージのみなもとになっています。長い闘病生活の中でも、その物語は絶えずシンフォニーのように彼のからだを流れ、物語から旋律のようにこぼれ落ちたことばの断片から絵本ははじまっています。音楽のような詩のような心地よいことばと絵の出会いによって仕上げられた2冊の絵本。倒れる前のマーカーペンを用いた作品とは異なり、『かっぱかぞえうた』以来、久しぶりテンペラ絵の具で仕上げれられています。絵の具が乾くのを待ちながら、ひと筆ひと筆、ゆっくりとした筆遣いで物語の世界が奏でられています。

この展覧会では、『ひな』と『ひなとてんぐ』の絵本原画を集中展示しました。また、あわせて、膨大な数が描かれた画稿や画稿本など、普段は公開されることのない制作のプロセスもご紹介しました。絵本に秘められた瀬川康男の制作の根源に迫る機会となりました。

常設展示 第3期『郭 徳俊展「大統領と郭」シリーズ』

会期:平成17年11月5日から平成18年1月15日

チラシ:常設展示 第3期『郭 徳俊展「大統領と郭」シリーズ』

郭徳俊(1937年、京都市生まれ)は、ニュース雑誌『TIME』の表紙に掲載されたアメリカ大統領の顔と、自分の顔とを鏡で合成させる肖像作品を制作しています。郭の代表作品といえるこの「大統領と郭」シリーズは1974(昭和49)年の「フォードと郭に始まり、以来、新大統領誕生のたびに新作がつくられ、2005(平成17)年までに9作品が制作されてきました。両者の顔を上下で巧みに合成させた作品にはユーモアやキッチュさが感じられますが、その背後には社会や常識に対する批評精神も覗かせています。

この展覧展では当館所蔵の「大統領と郭」シリーズに加えて、2005(平成17)年に制作された最新作「ブッシュ20012と郭」やワシントンD.C.でのイベント「クリントンと郭」のビデオも併せて展示し、これまでに制作されてきたシリーズのすべてをご紹介しました。

衣浦東部美術展

会期:平成18年1月4日から1月15日

衣浦東部地域(碧南市・安城市・知立市・高浜市・刈谷市)で活躍する100人の作家たちによる日本画、洋画、書、写真、彫刻、工芸作品、100点を紹介します。

この展覧会は、当美術館が開館した昭和58年6月に、開館記念展として開催しました「郷土作家百人展」を受け継ぐものです。平成59年度より現在の「衣浦東部美術展」と名称を改めて、平成20年度の第25回展まで開催しました。

常設展示 第4期 『個人コレクション展』

会期:平成18年1月21日から4月16日

当館が寄託作品として預かる個人コレクションをはじめ、あるコレクターが蒐集した秘蔵の絵画作品を拝借して展示しました。

美術作品は芸術家の手元から離れ、世の中に広がっていきます。それらは美術館のコレクションとなるものもあれば、ある個人や企業に収蔵されていくものもあるでしょう。美術作品が個人コレクションになる経緯や理由は様々です。心動かされた作品を手に入れて生活に潤いをもたらしたいと望む人、特定の美術のジャンルを愛好し、確固たる眼差しとこだわりを持って蒐集し続けるコレクター、パトロンとして芸術家らの制作活動を支援する資産家、また、バブルの時期には投資目的で購入した人もいるでしょう。いずれにせよ人々は美術作品を介して色々な夢を見たり、夢を実現させようとしていたりするのかもしれません。

ここでは複数人の個人コレクションを展示しました。コレクターたちはどのような夢を抱いて作品を蒐集したのでしょうか。作品の向こう側にあるコレクターの視線や夢を感じてもらう機会となりました。

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