平成28年度の展覧会(2016年4月から2017年3月)

ページID1001234  更新日 2023年4月19日

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日本近代洋画の巨匠 和田英作展

会期:平成28年4月23日から6月5日

チラシ:和田英作展

和田英作は、明治・大正・昭和を通じて洋画壇の重鎮として偉大な業績を残し、日本近代洋画の礎を築きました。堅実な写生を基礎にした穏健な画風を生涯守り続け、富士山をモチーフとした風景画、肖像画、薔薇の静物画などを情感豊かに描きました。

今回の展覧会は、和田英作の初期から晩年までの代表的な油彩画をはじめ、素描や下絵、1945(昭和20)年の疎開を機に愛知・知立や刈谷を描いた風景画などを含む約90点により、70年にわたる画業を振り返りました。平成の世となり、忘れ去られつつある和田芸術の魅力を、今あらためて見直す絶好の機会となりました。

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常設展第1期 New Collection展 新所蔵作品を初公開!

会期:平成28年6月11日から7月17日

写真:作品1
山下菊二《旗まぶし》1974年

平成27年度に収集した作品は、いずれもそれぞれの作家たちの制作活動の変遷と展開を示すものばかりで、ますます充実した当館のコレクションへ発展させることができました。

当地域ゆかりの「郷土の美術」では、愛知を代表する洋画家の伊藤廉や日本画家の森緑翠、ガラス絵で知られる山田光春など、未収蔵作家の優品を収集し、既存作家については、佐分眞の昭和初期の滞欧作、刈谷の芸術活動家・木村昭平の初期作品などを収集し、各作家の広がりのあるコレクションが形成できました。
「戦後の美術」では、前衛的な画家として活躍した三上誠と山下菊二の独創的な作品を追加収集し、彼らの画業が見渡せるようになりました。
「原画」「ポスター」では、画家・絵本作家として活躍した井上洋介の画力を伝える絵本原画や、田島征三の代表作の絵本原画、1960年代から隆盛した前衛演劇の代表的なポスター群を収集しました。

今回の展覧会では、その中から選りすぐりの約50点を展示しました。

没後10年 長新太の脳内地図展

会期:平成28年7月23日から9月4日

チラシ:長新太の脳内地図展

長新太(ちょう・しんた)は、1949年に漫画家としてデビューし、2005年に亡くなるまで、漫画家、イラストレーター、エッセイスト、絵本画家として八面六臂の活躍をしました。とりわけ、日本の絵本界に「ナンセンス」の分野を切り拓き、子ども向けの仕事は高く評価されました。その独自の表現は、現在も世代を超えて多くの人々に愛されています。

今回の展覧会では、絵本や子どもの本の原画のほか、大人向けに発表された漫画やイラストレーション、資料などを紹介し、長新太の特異な発想の源泉を探りました。「イマジネーション」、「センスとナンセンス」の2部構成で、10のテーマから約250点を展示し、迷宮のように広がる奇想天外な長新太の脳内にご案内しました。

しりあがり寿の現代美術 回・転・展

会期:平成28年9月17日から11月6日

チラシ:しりあがり寿の現代美術 回・転・展

しりあがり寿は、「弥次喜多 in DEEP」や朝日新聞に連載中の「地球防衛家のヒトビト」をはじめ、数多くの独特の批評精神に満ちたギャグマンガで知られています。
その仕事は文藝春秋漫画賞や手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞するなど高い評価を得ており、また日本大学芸術学部や神戸芸術工科大学では長年に渡り学生の指導にあたっています。その一方で、墨絵やアニメーションなどの手法を用いて、自身のマンガと関連しながらもそれ自体で自律した現代美術作品も発表しています。

自身初の美術館での個展となる本展では、これまでの多様な仕事に触れつつ、回転インスタレーションを中心に新作を展開しました。
さらに美術館隣の茶室では、室内を埋めつくす墨絵インスタレーションや障子マンガ?も発表しました。

絵画作品やジオラマ、日常品から映像まで、あらゆるものが回転する展示室。回転とは?芸術とは?
「漫画家しりあがり寿」とは一味違う、新しい「しりあがり寿ワールド」が体感できる展覧会となりました。

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常設展第2期 館蔵名品展 近・現代美術から絵本原画まで

写真:作品2
後藤純男《淡墨桜》1987年

会期:平成28年11月11日から12月11日

今回の常設展示では、当館コレクションの中から、皆様に是非紹介したい作品ばかりを集めて紹介しました。作品収集は、愛知ゆかりの作家の作品など、当地域を中心にした近・現代美術の収集に努め、枝葉を広げるようにコレクションの拡充を図ってきました。

愛知をはじめ当地域に関連する作家で形成される「郷土の美術」、大正から戦前期の作家の「近代の美術」、戦後に前衛的な活動を繰り広げた「戦後の美術」、当館と同時代性のある「現代の美術」、当館の特徴的な収集方針である「原画 絵本・雑誌等/広告等・ポスター」という収集のための5つのキーワードを設け、それらが互いに絡み合った多様なジャンルの作品の収集を続けています。

刈谷出身で世界的に評価を受ける作家や、近代洋画を代表する作家の作品、そして、とくに公開のご要望の多い作品も合わせ、約20作家による30余作品でご案内しました。

新春特別展示 戸田提山展

会期:平成29年1月11日から1月15日

写真:作品3
戸田提山《無極》1961年

新春特別企画として、現代書の新たな可能性を追求する少字数書で名高い郷土ゆかりの書家・戸田提山の名品を当館コレクションより一挙に公開しました。

1917(大正6)年、安城市に生まれた戸田提山(1917から2004年)は、愛知県岡崎師範学校を卒業後、尋常高等小学校をはじめ、刈谷商業家庭高等学校(現・刈谷北高等学校)や刈谷高等学校で教鞭を執りました。その一方で、書家を志して少字数書の開拓者・手島右卿に師事し、日展で多くの受賞を重ねました。独立書人団理事長、全日本書道連盟理事、全国書美術振興会理事、愛知県芸術文化選奨選考委員などの要職を務め、1989(平成元)年には日展において、内閣総理大臣賞を受賞しました。

文字の持つ意味や形、書体、用いる筆、墨、紙などを綿密に計算し構成された戸田提山の書は、静謐な精神性をたたえ、今なお多くの人を魅了しています。

今回の展覧会では、漢詩を書いた《李白詩》と《渓上》に加え、漢字の象形や意味に着目してその根源的な生命力を造形化していく少字数書の《無極》や《風》、《神秀》など、計10余点を展示し、戸田提山の作品世界を紹介しました。

常設展第3期 絵画を愉しむ:Part1 静物画のこころ

会期:平成29年1月18日から2月19日

写真:作品4
笠井誠一《ウクレレとかりんのある静物》1999年

今回のテーマは静物画。静物画とは、花や果実、器など、それ自体では動かない、身近な「もの」をモチーフにした絵のことです。古くはギリシャ・ローマ神話や聖書に由来する寓意画、視覚のトリックを操っただまし絵としても描かれました。そして、様々な美術の潮流や表現様式が生まれた近代以降には、モチーフの色や形の捉え方や画面構成が追究され、画家独自の表現を手に入れるための格好の実験対象となりました。身近なモチーフを用いて気軽に描くことのできる画題として、今なお実に多くの画家が静物画に取り組んでいます。

写実表現を追究したり、あるいは重なり合うモチーフが作り出すリズムや緊張感を作り出したり、画家のプライベートな詩情を表現したりと、静物画には、時間をかけて対象とじっくり向き合った画家のまなざしや、絵に込められた思いが色濃く反映されています。

今回の展覧会では当館コレクションより、日本の近代から現代にかけて活躍した16人の画家の作品を、洋画と日本画を織り交ぜて紹介しました。

常設展第4期 絵画を愉しむ:Part2 表現のひみつ

会期:平成29年2月22日から4月9日

写真:作品5
久野真《鋼鉄による作品 #292》1975年

今回のテーマは「表現のひみつ」。
画家たちは、様々な方法で作品を制作しています。油彩画であれば筆を使ってキャンバスに油絵具で描いたり、日本画であれば絹地に岩絵具で描いたり、あるいは紙に木版で刷る木版画などが伝統的な表現です。こうした従来の技法にとらわれず、ユニークな手法で描く画家もたくさんいます。たとえば、針で画面を引っかいて模様を描いたり、手をスタンプにして描いたり。木の実やステンレスといった、思いもよらない色んなものを貼りつけて半立体の絵画を制作するなど。どれも、各々の素材が持つ特性を活かしながら、新しい表現を追究した作品で、多様な趣を見せています。

今回の展覧会では、当館所蔵品の中から、このように自由な表現で描かれた絵画や、オーソドックスな絵画や版画作品約30点を紹介し、その表現の多様性をより深く感じていただける展覧会となりました。

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