平成29年度の展覧会(2017年4月から2018年3月)

ページID1001233  更新日 2021年2月25日

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描かれた大正モダン・キッズ 婦人之友社『子供之友』原画展

会期:平成29年4月22日から6月4日

チラシ:平成29年子供之友展

子どもたちに向けた、モダニズムの新たな文化が花開いた大正期。自由な風潮のなか、『子供之友』は、1914年(大正3)4月に婦人之友社の創業者羽仁もと子、吉一によって創刊されました。その後、1943年(昭和18)に第二次世界大戦下における用紙制限によって休刊するまでの30年間、子どもの自立による近代的な人間育成を一貫して掲げ、生活教育を積極的に展開した絵雑誌として、童話や伝記読物、漫画やクイズなどの多彩な内容で多くの子どもたちから愛されました。

今回の展覧会では、北澤楽天、竹久夢二、武井武雄、村山知義を中心に、最終号を飾った深沢紅子にいたる数々の画家たちが『子供之友』のために描いた原画150余点を一堂に展示し、その芸術性とともに、絵雑誌における子どもに向けた美術の世界を紹介しました。また、原画とあわせて雑誌『子供之友』の展示や、明治末から戦前までに創刊された絵雑誌の流れを振り返る特別展示も行いました。

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常設展第1期 New Collection展 新所蔵作品を初公開!

会期:平成29年6月10日(土曜日)から7月9日(日曜日)

写真:作品1
和田英作《東海道の松並木》1948年

平成28年度に新しく刈谷市美術館のコレクションとして仲間入りした新所蔵作品を紹介しました。
昨年度の作品収集活動では、当地域ゆかりの〈郷土の美術〉では、近代洋画家の重鎮・和田英作が知立滞在時に描いた風景画をはじめ、高畑郁子や中村正義といった東三河ゆかりの日本画家の作品や、北川民次や鈴木幸生の版画などを収集しました。各作家の継続的な収集作品により、制作活動の変遷がより明確になるコレクションとなりました。さらに、当館未所蔵の作家として、二科展を中心に中央画壇で作品を発表し続けた横井礼以、戦後の前衛美術で活躍した芥川紗織、シュルレアリスム的な作品を発表した白木正一といった、郷土の洋画家の作品も収集することができました。また、〈近代の洋画〉では椿貞雄の初期の静物画、〈絵本原画〉ではしりあがり寿と刈谷市在住の木村昭平の作品を収集し、充実したコレクションに発展させることができました。

斎藤吾朗の描けば描くほど モナ・リザ模写から赤絵へ

会期:平成29年7月22日(土曜日)から9月3日(日曜日)

チラシ:平成29年斎藤吾朗展

斎藤吾朗さん(1947年から/愛知県西尾市生まれ)は、赤を大胆に使った鮮やかな色彩やダイナミックな構図で、温もりやユーモアあふれる独特な作品(赤絵)を描き続けています。

1973年、20代半ばの吾朗さんは念願のパリへ渡ると、自身の絵を模索しながらヨーロッパ各地をスケッチしてまわり、パリ・ルーヴル美術館では、《モナ・リザ》の日本人初となる公認模写を果たします。この貴重な体験をきっかけに、自分の描くべきテーマは「母なる故郷」にあると確信すると、帰国後は、ふるさと・三河地方の風土や、そこに生きる人々を描きはじめます。「赤絵」の赤は、三河の赤土や夕陽、炎、血など、万物の根源につながる「いのちの赤」です。そこには、生きる喜びや受け継いでいくことの大切さといった普遍的なメッセージが込められており、吾朗さんの眼差しは、故郷を原点に、私たちが生きる現代社会、人間の本質へと向かっていきます。

今回の展覧会では、初期の《モナ・リザ》模写を含むこれまでの代表的な油彩画をはじめ、刈谷を題材した新作、愛知の祭りや風物を描いた版画など約60点を展示します。さらに、懐かしい昭和の日用品や道具など、吾朗さんが長年蒐集してきた膨大なコレクション「ガラクタ美術館」から、選りすぐりの品々も紹介します。三河発の「赤絵」の軌跡をたどり、愛知の魅力を再発見することができました。

篠原有司男展 ギュウちゃん、“前衛の道”爆走60年

会期:平成29年9月16日(土曜日)から11月5日(日曜日)

チラシ:平成29年篠原有司男展

ボクシング・ペインティング、オートバイ彫刻、ド派手な絵画で知られる“ギュウちゃん”こと、篠原有司男(1932年東京生まれ)。1950年代末から反芸術の旗手として脚光を浴び、1969年に渡米。以来、ニューヨークを拠点に創作活動を続け、85歳の現在もエネルギッシュに奮闘する前衛美術家です。

今回の展覧会では、ギュウちゃんの60年にわたる創作の軌跡を、絵画、立体、ドローイング、版画など約100点の作品と関連資料でご紹介します。1960年代の日本美術に大きな足跡を残す初期の作品の中から、モヒカン刈りの姿で制作する貴重な記録写真をはじめ、他人の作品を真似するイミテーション・アート、幕末浮世絵を大胆な表現でデフォルメした花魁シリーズなどを展示しました。

また、渡米後の作品からは、ダンボールや廃材を素材にしたオートバイ彫刻のほか、鮮やかな色彩と激しい筆触でニューヨークの喧騒を描いたド派手な絵画に加え、マイアミやバミューダなどをテーマにした代表的な絵画シリーズを紹介。さらに、当館で公開制作されるボクシング・ペインティングの最新作も展示しました。

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チラシ:ボクシング・ペインティング公開制作の記録

平成29年9月16日に開催したボクシング・ペインティング公開制作の記録をまとめました。こちらも是非チェックしてください!

常設展第2期 カガクの眼でみる絵画の世界

会期:平成29年11月11日(土曜日)から12月10日(日曜日)

写真:作品2
石井茂雄《戒厳状態》1956年

画家たちは、動物や植物、魚類などの自然の事象や現象をはじめ、実際には目には見えない心象風景までも人や物の形に託して、さまざまな表現方法で描き出しています。本物そっくりに描いたリアルな表現、石膏などの素材を活かした表現、事象をシンプルに抽象化するなど、画家の個性を発揮した独自の方法はバリエーションがとても豊かです。

そうした絵画を、「おちる」、「まわる」、「ゆがむ」など、カガク的な視線でじっくりと観察し、分析して視ることで、今まで気づかなかった新たな世界を発見するに違いありません。そこには、色彩や構図、用いる素材に対する画家たちの確かな意図が秘められています。観る側の想像力をかき立ててやまない、ふしぎな魅力に満ちた絵画の世界をお楽しみいただきました。

常設展第3期 没後20年 星野眞吾展

会期:平成30年年1月10日(水曜日)から2月25(日曜日)

写真:作品3
星野眞吾《赤い影》1974年

今回の常設展では、豊橋市生まれの日本画家、星野眞吾(1923年から1997年)の没後20年にあたることから、その画業を振り返る特集展示を行いました。

星野眞吾は、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で出会った三上誠ら同年代の若い日本画家とともに、日本画の概念を超える新しい表現を求め、1949(昭和24)年、前衛美術グループ・パンリアル美術協会を結成しました。そこで星野は、クレーやミロを思わせる幻想的な抽象画や、視覚効果を狙ったオプティカル・アート的な作品、厚紙や和紙をコラージュした作品を制作するなど、試行錯誤を繰り返しながら実験的な創作活動を展開します。そして1964(昭和39)年、父親の死をきっかけに、星野の代名詞となった「人拓」による作品が生まれました。糊を塗った身体を紙に押し付け、そこに顔料を振りかけて制作される人拓は、文字通り肉体の痕跡が画面に定着されており、見るものに触覚的な感覚を呼び起こします。やがて人拓と共に、ガラスや透明なビニール、自画像などが細密に描き込まれるようになり、現実と幻想が交錯する独特な世界観を築き上げました。

常設展第4期 絵画を愉しむ 彼方へのまなざし

会期:平成30年3月1日(木曜日)から4月8(日曜日)

写真:作品4
久野和洋《地の風景》1996‐97年

今回の常設展では、昨年度から始まった「絵画を愉しむ」シリーズ第3弾として、絵画作品の魅力に多面的に迫るテーマ展を開催しました。
今回のテーマは「彼方へのまなざし」。少し難しいように感じられるかもしれませんが、「彼方」とは、遠く離れた場所や時間のこと。画家は、異国の風物への感動や、自然が見せる一瞬の美しさを描くだけでなく、過ぎ去った時間や、夢の世界を表現することもあります。絵を前にしたとき、描かれた場所に行ったような気持ちになったり、どこか懐かしさを感じたりすることはないでしょうか。画家が描いた風景や記憶、想像の世界に想いを巡らせることで、私たちは画家のまなざしを体験しているといえます。

本展では当館コレクションにより、洋画と日本画を織り交ぜて12人の画家の作品を紹介しました。

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