学芸員のひとりごと 令和6年4月~令和6年9月
歴博周辺の鳥パネル展示について
歴博周辺の鳥パネル展示について(5月21日)
現在開催中の開館5周年記念企画展「めでたきとり」では、刈谷・愛知に棲息する鳥をモチーフにした資料・作品を展示しています。生き物として鳥が画題やモチーフになっているものなので自然史的な内容ではなく、美術(美術史)の目線から集められた作品・資料が展示されています。その傍ら、展示室の外やエントランスや廊下など館内の各所には、歴史博物館周辺で生息する鳥をパネルにして展示・紹介しています。あくまで展覧会がメインなので、本企画展のチラシやホームページでは紹介していませんでした。
歴史博物館では、総合博物館とは違って基本的に自然史は扱いません。ですが、展示の中で刈谷・愛知の鳥の作品を紹介しているのですから、それらの元となった鳥は今も身近にいるはずです。そこで副担当である私は、博物館周辺の鳥の写真を撮って館内で紹介することにしました。




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歴博周辺の鳥 地上・低空 (mp4 165.5MB)
※クリックすると動画(音声なし)が流れます。
歴博の周辺環境と鳥(1)(5月21日)
博物館の周辺というと、敷地内には植栽があります。また、すぐ南には亀城公園があり、西には逢妻川・境川が流れ、そのさらに西側(東浦町・大府市側)や館の北の方などには田畑が広がっています。東側には刈谷市街が広がりますが、割と緑が多く、鳥や生き物たちが棲息しやすい環境が広がっています。郊外の広い土地に建てられた似たような環境にある博物館・美術館は珍しい訳ではありません。
展示を目的としていますが、写真を撮って遊んでいると思われてもいけませんので、撮影はお昼休みや休暇中に行ないました。
普段はそこまで意識していませんでしたが、改めて撮った写真を見てみると、色々な種類の鳥が棲んでいることがわかります。以前、博物館ニュースのコラム(Vol.13、2023.10)で紹介したように日本の国鳥・キジは声を聞く限り何羽かが少し距離をおいて棲息しているようです。今年もつがいが見られました。
春に多いのはケリでしょう。警戒心や縄張り意識が強く、カラスなどが寄ってくると「ペ、ペ、ペ、ペーン!」「ケ、ケ、ケ、ケーン!」と叫んで近くを旋回して威嚇しています。
いつの時期でも多く見られるのはサギです、ダイサギ、チュウサギ、コサギにアオサギが良く見られます。私は、出身の岐阜市で見ていてなじみのあるゴイサギが見られていないのは残念ですが、生息域が違うのでしょうか。
展示の中で刈谷の鳥として紹介している鳥にクジャクがいます。なぜ、刈谷でクジャク?と思う方もいるかもしれませんが、その答えは亀城公園にあります。亀城公園には昔から鳥籠があって、現在でもインドクジャクが2羽飼われているのです。たまに「クェーッ!」と鳴く声が公園前の道路や体育館の辺りからでも聞こえますよ。(これは私の聞こえ方で、人によっては「イヤーン」「ミャオー」などとも表現されます。)
つづく・・・



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歴博周辺の鳥 木々・上空 (mp4 182.5MB)
※クリックすると動画(音声なし)が流れます。
歴博の周辺環境と鳥(2)(5月28日)
秋・冬は渡り鳥が多く飛来して、逢妻川・境川に浮かんでいます。マガモ、カルガモ、コガモ、ヒドリガモ、キンクロハジロ、ホシハジロ、オカヨシガモ、ミコアイサ、ウミアイサ、コスズガモなど…残念ながら展示の主題に関わるマガンやヒシクイなど雁の仲間は見つけることができませんでした。この辺りまでは渡って来ていないのでしょう。カモ類と一緒に見られるのがカンムリカイツブリ、アビ、オオバン、ウ、サギなどです。川の側や水が引いたところでは、シギの仲間も踊るように歩きまわってエサを探しています。カワセミも見かけたのですが、僅か数回でした。
草木の周辺でよく見かけるのはスズメ、ハト、カラスは言うまでもありません。このほか、ムクドリ、ヒヨドリ、モズ、ツグミ、ハクセキレイ、カワラヒワ、ホオジロ、ウグイス、メジロなどなど…
猛禽類も少し見られました。多いのはトビですが、ノスリやミサゴ、チョウゲンボウを見つけました。
この他にも種類の特定できていない鳥がたくさん見られましたし、動きが早くて写真に収められていない鳥たちも多くいます。歴史博物館の周辺には様々な鳥が棲息・飛来していることがわかりました。私は歴史の学芸員ですので、これが何かに直接活かせるかというと難しいですが、戦国時代、三河で盛んに行われた鷹狩の獲物として出てくる鳥種と比べると、実に多様になったということ、そして温暖化によってこの地域では鶴・雁が見られなくなってしまったということがわかりました。
(そして鳥の話と関係はありませんが、この企画を通して得たことは、カメラ技術が少しだけ向上したということでしょうか。資料の撮影に活かせれば良いなと思います。)
おわり



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