学芸員のひとりごと 令和4年10月~令和5年3月

ページID1011586  更新日 2022年10月30日

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縄文時代のものづくり ―石鏃を作ってみよう- (10月28日)

 皆さんは石鏃(せきぞく)という石器を知っていますか?

 石鏃とは1万年以上続く縄文時代を通して使われた代表的な道具の一つで、俗称では「矢じり」とも呼ばれています。先端が鋭く尖り、三角形をしているものが一般的で、縄文時代の人々がシカやイノシシなどの動物を狩猟するときに使った矢の先端に装着されました。写真の丸の部分が石鏃です。

弓矢
弓矢(丸の部分に石鏃を装着しています)

 刈谷市では縄文時代の遺跡がたくさん発見されており、一か所の遺跡から300点以上もの石鏃が出土することもあります。このことから縄文人は日々たくさんの石鏃を作っていたのかもしれません。

 では、縄文人たちは石鏃をどのように作っていたのでしょう。

 今回は石器の材料としてよく使われた石、黒曜石を使って石鏃の作り方の一例を紹介していきます。

 まず、石鏃を作るための道具を準備します。今回は黒曜石を粗割りする時にハンマーとして使う河原石鹿角、後で紹介する押圧剥離(おうあつはくり)に使う鹿角の先端を使っていきます。石鏃に使われる石は黒曜石のようなガラス質の石が多く、破片が飛び散ることもあるので、目を保護するためのゴーグル、手を保護するための手袋や動物の革などを準備して行うのがおすすめです。

石鏃製作に使用するハンマー
使用するハンマー

 では、実際に石鏃を作っていきましょう。石鏃の素材に向いているのは剥片と呼ばれる石のかけらで、薄く、湾曲の少ないもので、完成した石鏃の形を想像することができるものが適しています。そのため、まずは黒曜石に河原石のハンマーや鹿角ハンマーで直接打撃を加えて粗割りし、石鏃作りに適した剥片を剥離していきます。石を割る時は力任せに割るのではなく、ハンマーの重みを利用して割ると良い剥片を剥離しやすいと思います。

鹿角ハンマーで黒曜石を粗割りする作業
粗割り作業
粗割りで剥離した剥片
剥片

 次に、剥離した薄い剥片を河原石のハンマーで割っていき、石鏃の大まかな形を作っていきます。この作業で余分な厚みをできるだけ取り除いておくと完成品も薄くきれいなものに仕上がりやすくなります。この時も力任せに割ると折れたりしてしまうので、軽くコツコツと割っていくと割りやすいです。

河原石のハンマーで剥片を成形する作業
成形作業
成形した黒曜石製の剥片
成形した剥片

 なんとなく石鏃の形ができてきたら、鹿角の先端を使って押圧剥離で細かい加工を繰り返しながら、仕上げていきます。押圧剥離とは、これまでの工程のハンマーで黒曜石に直接打撃を加えて割る方法とは異なり、鹿角の先端部を縁辺に押し当てて圧力で押し剥がす技術になります。石の縁辺を削るのではなく、縁辺から内側に向かって力を加え、薄く石をめくるイメージで行うのがコツです。

鹿角の先端を使った押圧剥離で仕上げを行う
押圧剥離による仕上げ

 最後の細かい加工が終わり、自分の納得できる形に仕上がったら完成です。

 石器作りは見栄えのする石器を作ることも楽しみの一つですが、大切なことは製作する中で石器を観察する眼を養うことだと思います。そうすることで、様々な種類のハンマーによる剥離痕の違いや、石器に見える割れ面の構成から、どのようにその石器が製作されたかなど、石器自体を眺めているだけでは気付きにくかったことを教えてくれることがあります。また、日々、石器作りを行うことによって、当時の人の身振りや製作時の意識などが見えてくる可能性もあるかもしれません。

 今回は黒曜石を使って石鏃を作ってみましたが、ガラス瓶の底や海岸で拾うことができるシーグラスなどでも作ることができます。ガラスの色によってはなどきれいな色の石鏃も作ることができるので、皆さんもぜひ挑戦してみてください。

完成した黒曜石製の石鏃
完成した石鏃

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