学芸員のひとりごと 令和5年4月~9月

ページID1014269  更新日 2023年9月29日

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初の博物館実習を終えて(9月29日)


以前ご紹介した、当館初の「博物館実習」を8月16日~22日に開催しました。7名の実習生を受け入れ、全員無事に修了することができました。

「実習の柱」と書いたディスカッションのテーマですが、「(1)刈谷市歴史博物館にふさわしい魅力ある教育普及イベント」「(2)常設展示の展示替えリスト作成」から選択する方式でした。いずれもハードルが高く、当館職員でも悩む内容ですが、6名の方が(1)を、1名が(2)を選択し、最終日にご報告をいただきました。教育普及イベントは、当館でも力を入れて行っており、新規イベントを提案するのは難しかったと思います。ただ、学生らしい柔軟な発想を随所に垣間見ることができました。展示替えの方も、我々が想定していたものよりも遥かにレベルの高いリストが出来上がり、そのまま展示替えをしても良いのでは?と思わせる内容でした。

博物館実習は大学4年次のカリキュラムであるため、実習生全員が職業としての「学芸員」を目指しているわけではありません。あくまで資格としての学芸員を目指している方もいらっしゃいます(そもそも全員が学芸員を目指せるほど、募集はありません…)。そのため、社会人として仕事に取り組む姿勢を伝えることも大事で、ディスカッションには意味があるように感じています。一方、今回の実習生の中にも学芸員を目指している方がいるようで、それは嬉しいことでした。当館での実習が少しでも糧になれば、と思います。

最後に実習生の声を聴いてみると、「もう少し資料の取扱実習が多い方が良い」という声もいただきました。職員側からも「もっと取扱に時間を取りたかった」との声が挙がっており、来年はもう少し資料に触れる時間を増やしたいと考えております。

博物館実習の様子

博物館実習の様子

博物館実習を考える(6月28日)

皆さんは「博物館実習」という言葉を聞いたことがありますか?
中学校や高校では「教育実習」というものがあります。これは教員養成課程の大学生が学校で実習をするものですが、博物館にも学芸員課程の大学生が博物館で実際に専門業務を学ぶ「博物館実習」があります。

当館は開館して日が浅いことからこれまで実施できていませんでしたが、開館5年目ということもあり、今年から博物館実習を行うこととしました(8月16日~22日実施予定※募集は既に終了しています)。

募集の前に、実習の内容を考える必要があります。これが結構難しい…。博物館実習の難しいところは「これをやらなければならない」というような決まりが無いことです。館の種類(歴史系・美術系など)や学芸員の数によって、日数も経験する業務も違います。国(文部科学省)のガイドラインはありますが裁量の幅が大きく、必ず実施しなければならない内容も決まっていません。そのため、一から組み立てる必要があります。そこで、他の博物館ではどのように実習を行っているのか、調査をしました。

他の博物館の様子を窺っていると、実際の展示替え業務を学芸員と一緒に行っている館や、ディスカッションに時間をかけている館イベントの運営補助を行っている館などがあることが分かりました。学芸員課程を担当されている大学教員にもお伺いしたところ、「博物館の普段の姿を見せるだけでも学生にとっては良い経験になる」「まずは1回実施してみて、反省点があれば次回以降変えていけば良い」といった言葉をいただきました。

館内での議論も踏まえ、当館ではディスカッションを実習の柱とすることにしました。まだまだ若い博物館ということで、若い実習生の方と博物館の未来について、活発な議論ができたらいいなと期待しております。今後、実習の様子などもここでレポートしていきたいと思います。
 

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