依佐美送信所送信装置及び関係資料が愛知県登録文化財になります
令和8年1月30日に開催された愛知県文化財保護審議会の審議を経て、下記の文化財が、令和8年2月10日付けで愛知県登録文化財になります。
【新規登録】依佐美送信所送信装置及び関係資料 一括(50件)
概要
依佐美送信所は、日本からヨーロッパへの初の無線通信に用いる長波(※1)送信所として設計されました。1927年から1929年にかけて碧海郡依佐美村(現刈谷市高須町)に建設され、1929年から1993年にかけて運用されました。
今回登録となった依佐美送信所送信装置は、ドイツのテレフンケン社設計、AEG社製造で、テレフンケン社の代理店である日本無線電信電話株式会社が請け負い、テレフンケン社と共同で組立て、据付けを行いました。
送信装置の構成と送信の仕組みは概ね次のとおりです。先ず3,300ボルトの交流を受電し、交流電動機(920キロワット)を動かします。これに直流発電機(860キロワット)を直結して動かし、交流を直流に変換します。次にその直流によって直流電動機(730キロワット)を動かし、これに直結する誘導子型高周波発電機(※2)を動かして高周波電流(5,814ヘルツ)をつくります。さらにこの高周波電流を周波数(※3)三倍器によって三倍の周波数(17,442ヘルツ)にし、これにモールス信号をのせて、アンテナ(空中線)から電波(波長(※4)17,200メートル)として発信しました。
本送信装置は、現存する長波の送信装置としては世界最大級の大きさと出力を誇ります。その技術的な特徴は、誘導子型高周波発電機で得られた高周波電流を、三逓倍回路によって三倍にすることで安定した高周波を生み出す点にあり、大出力の真空管が無かった時代に遠距離の無線通信を可能とした、当時としては画期的なものでした。
関係資料においては、アンテナ(空中線)及びこれを保持する鉄塔に関する資料が多く含まれます。鉄塔は、往時には一辺3メートルの正三角形の断面をもつ、高さ250メートルのものが計8基建ち並んでアンテナ(空中線)を保持し、平坦地の広がる当地において独自の景観を構成しました。現在これらの鉄塔は撤去され、旧鉄塔の一部の部材を用いた「記念鉄塔」が設置されています。
本送信装置は、日本初の対欧州無線送信を担ったもので、本県のみならず我が国における通信技術の進化を示す近代産業遺産として歴史的な価値が高く、関係資料とともに、保存と活用を図るべき重要な歴史資料となります。
(※1)長波 ここで用いる長波の語は、電波を長波と短波に大別した場合の長波にあたります。電波は波長が長い(周波数が低い)と、障害物の裏側にも回り込みやすく、地表に沿ったり電離層に反射したりして遠くまで届きます。特徴としてアンテナ・無線機器が大きくなること、多くの情報を載せることが難しいことが挙げられます。一方、波長が短い(周波数が高い)と、直進性が高く、障害物に反射しやすくなります。電離層を突き抜け、衛星通信が可能となる。特徴としてアンテナ・無線機器が小さくできること、電波の幅(帯域)を広く取って、多くの情報を載せられることが挙げられます。なお、電波を周波数帯で細分した場合、本送信所の長波は、「超長波」にあたります。
(※2)誘導子型高周波発電機 誘導子(歯車のような突起をもつ部材)を回転させ、磁気抵抗の変化を利用して高周波電流を発生させる発電機。
(※3)周波数 1秒間に電波がどれくらい振動(プラスとマイナスが入れ替わり)するかを意味します。
(※4)波長 プラスとマイナス1回分の振動で、電波の長さを表したもの。
手前から、主誘導電動機(交流電動機)、主直流発電機、主直流電動機、高周波発電機
主誘導電動機の地上部最大高:1.72m、最大幅:1.94m、最大奥行:2.93m
高周波発電機の地上部最大高:2.20m、最大幅:4.02m、最大奥行:3.44m
地上部最大高:2.20m、最大幅:4.02m、最大奥行:3.44m
最大高(床面からパイプ接続部まで):2.65m、胴部直径:0.60m
愛知県登録文化財とは
愛知県文化財登録制度は、未指定の地域の文化財に対して、幅広く保護の対象とすることと、所有者や担い手等の保存および継承に対する意識を高める目的で、令和5年度に創設されました。対象の文化財が下記の5つの種別となっています。
有形文化財
無形文化財
有形民俗文化財
無形民俗文化財
記念物
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